残りの時間で 私は彼に 何をしてあげられるのだろう

 

神がいるのなら、どうか彼が  これ以上苦しむことの 無いように  どうか・・・

 

           憂  参 

 

「 薫? 」

 

気がつくと私は、自室の布団の上だった。弥彦が心配そうに、私の顔色を伺っている

 

「・・・私  ?どうして」

「倒れたんだよ!   ・・・血吐いて・・

お前どうしたんだ?  何か病気じゃないのか?医者には・・・」

 

「弥彦」

弥彦の言葉を 遮るように薫が問うた

 

「剣心は?」

「署長に頼まれた仕事で、今日はもどらねえよ」

 

「そう  だったわね  」

安心した表情を見せる 薫

「このことは、剣心には決して言わないで欲しいの。お願い」 

 

「薫?  だってお前!!」

「いいの。」

 

「・・・血  吐いたってことは、  恐らく・・・。」

「労咳・・・でしょうね」

 

この時代、労咳 つまり肺結核で亡くなるのはそう珍しいことではなかった

現代でこそ、ストレプトマイシンのような薬物療法が確立されて結核は恐ろしい病という意識は人々の中から消えつつあるが、
明治の世では、結核とは即ち死を意味するものだった。
治療法といえば、空気のキレイな場所で静養する位しか無かった時代だ。

 

「恵には言っといたほうが・・。何か治療法が!!」

「この病は治らないわ」

 

二日後 剣心が仕事を終え帰ってきた

 

「ただいま。 変わりはなかったでござるか?」

「特に無いわよ 剣心 お疲れ様」

 

剣心はいつものように、薫に口付けをしようとするが 薫はそれを拒んだ

 

『  ウツシテシマウ  』

薫は何よりそれを恐れた。

 

「・・薫殿?・・」

「か・・風邪ひいてるの!だから、うつすと悪いからさ・・」

「大丈夫でござるか? さあ、外は寒い。早く中へ」

 

           ごめんなさい

 

ココロの中でそう呟き 薫は剣心に促され屋敷へと入っていった

 

 

 

雪が降る 今宵も  

私の死など悲しまなくていいように 彼のココロを

貴女に お返しします

どうか 連れ去ってください

永遠に 悲しみの無い場所へ 彼の魂を・・・・

 

              弐へ     肆へ   

 

★暗い〜  益々深みにハマッテオリマス。

 こんな時でも薫ちゃんは巴さんに気をつかって・・・。ゴメンネ薫ちゃん

 貴女のこと大好きなのに〜

 最近結核がまた増えてるようですね!

皆さんも気をつけて下さいネ